Starving Cancer: Ketogenic Diet A Key To Recovery 

がんとケトン食のことがCBN番組のthe 700 Clubで紹介されています

Starving Cancer: Ketogenic Diet A Key To Recovery
CBNテレビの看板番組「the 700 Club」の2012年12月12日の番組では、「Starving Cancer: Ketogenic Diet A Key To Recovery」というタイトルで、がんのケトン食療法が紹介された。司会はPat RobertsonでリポートはLorie Johnsonで、進行がんをケトン食で克服したハットフィールド氏の話や、ケトン食の抗がん作用を研究している南フロリダ大学のダゴスチノ博士の研究などが紹介されている。

内容は以下のビデオを参照。

がんとケトン食:CBN番組「the 700 Club」から

2012年の12月12日の米国のCBNテレビのthe 700 Clubという番組でがんのケトン食について紹介されています。
CBNはChristian Broadcasting Network (クリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワーク)の略で、米国のバージニア州に本拠地を置くキリスト教系の放送局です。The 700 Clubというのは1966年から続いている番組で、平日放送の生放送の番組で、ニュースやトークショーやインタビューなどの内容で、視聴率の高いCBNの看板番組です。
この番組で司会をしている男性はパット・ロバートソン(Pat Robertson、本名:Marion Gordon Robertson;1930年3月22日〜)で、彼は人気の高いキリスト教テレビ伝道師で、CBNの設立者(所有者)でもあり、キリスト教プロテスタント保守派の指導者として非常に影響力のある人だそうです(Wikipediaより)。
リポーターは女性のローリー・ジョンソン(Lorie Johnson)で、CBNでは主に医学や健康や食事の話題を取材しています。
このビデオは約11分半あり、最初の約5分間がローリー・ジョンソンのリポートで、後半の6分半がパット・ロバートソンとローリー・ジョンソンの会話になっています。
リポートの部分を日本語訳しておきます。

[司会(Pat Robertson)]

費用がかからず、ほとんど副作用がないがん治療があるとしたら十分に驚嘆に値します。しかも他のがん治療と併用できる治療です。このようながん治療が実際に存在するのです。本当に驚くべき効果です。

[女性キャスター(Terry Meeuwsen)]

糖質はがん細胞の栄養です。したがって、糖質の摂取を止めればがんを消滅できるのです。このようにしてがんを消滅させた話をローリー・ジョンソン(Lorie Johnson)がリポートします。

[リポーター(Lorie Johnson)]

フレッド・ハットフィールド博士(Dr. Fred Hatfield)は強い印象を与える男です。重量挙げのチャンピオンであり、多くの著書があり、億万長者のビジネスマンで、美しい奥さんがいます。しかし、彼が達成したことで最も重大なことは、自分のがんを自分で、しかも短期間で消滅させたことです。

[ハットフィールド氏]

「全身の骨にがんが転移しているので、主治医は私の余命は3ヶ月しかないと言っていました。3人の別の医者も同じこと、つまり余命は3ヶ月と言いました」

[妻のグロリア]

「自分が愛する人がたった3ヶ月間しか生きられず、もはや一緒に暮らせないという事実を知って非常に悲惨な気持ちになりました」

[リポーター]

ハットフィールド氏が死を迎える準備をしているとき、代謝治療(metabolic therapy)として知られているがんの食事療法について知りました。彼にはもう何も失うものは無いので、その食事療法を試してみたところ、その食事療法が本当に良く効いたのでした。

[ハットフィールド氏]

「がんは消滅しました。完全に消えたのです。今では、がんのかけらも見つかりません。それからもう1年以上が経過しています。」

[リポーター]

それを実行することは簡単ではありませんが、ハットフィールド氏は糖質を食べるのを止めました。糖質は体の中でブドウ糖(グルコース)に変わります。がん細胞はブドウ糖が大好物で、がん細胞が増殖し生存するためにはブドウ糖がどうしても必要なのです。したがって、がん細胞にブドウ糖を与えないようにすれば、がん細胞は死んでしまいます。

[ハットフィールド氏]

「医学がこの事実をつい最近になって見つけたということに、私は本当に驚きました。」

[リポーター]

ハットフィールド氏のがんの克服は、ドミニク・ダゴスチノ博士(Dr. Dominic D’Agostino)にとっては、驚きではありませんでした。
彼と南フロリダ大学の彼の研究チームは、代謝治療を研究しています。増殖が早く非常に転移しやすいがんをもった実験用マウスの餌から糖質を除去すると、普通の餌を与えているマウスより長く生存しました。しかも、抗がん剤治療を受けたマウスよりも長く生存したのでした。

[ダゴスチノ博士]

「代謝治療によって劇的な生存期間の延長を認めています。そのため、この情報を広く知ってもらうことが重要だと考えています」

[リポーター]

この効果は実験用のマウスだけに見られているわけではありません。ダゴスチノ博士は、人間のがんにおいても同様の有効例を認めています。しかも、多くの有効症例を経験しています。

[ダゴスチノ博士]

「私は、多くのがん患者と連絡を取り合っています。最近の1年半から2年間の間に少なくとも12人以上のがん患者と連絡し、彼らの全ては予想に反してまだ生存しています。この治療は非常に期待が持てると思います」と彼は言っています。

[リポーター]

がん細胞を含めて全ての細胞はブドウ糖を燃料にしてエネルギーを産生しています。しかし、もしブドウ糖が枯渇した場合は、替わりの燃料(エネルギー源)であるケトン体に切り替えます。
しかし、がん細胞を除いてです。がん細胞はケトン体をエネルギー源として利用する酵素が欠損しているので、がん細胞はブドウ糖からしかエネルギーを作ることができません。一方、正常細胞は、ブドウ糖とケトン体の両方を利用できるのです。

[ダゴスチノ博士]

「あなたの体の正常な細胞はブドウ糖とケトン体を状況に応じて使い分けるという適応能力を持っています。しかし、がん細胞はエネルギー代謝にけるこの適応能力(ブドウ糖が無いときにケトン体をエネルギー源として利用すること)が欠如しているのです。その点をがんの治療に利用できるのです」

[リポーター]

ハットフィールド氏のような人々は、細胞のエネルギー源としてブドウ糖を排除し、替わりのエネルギー源としてケトン体で細胞を動かすようにするためには、ケトン食と呼ばれる食事をします。ケトン食とは、糖質がほとんどゼロで、天然のタンパク質や脂肪の多い食事です。

[グロリア]

「インターネットで検索すればケトン食に関する多くの書籍を見つけることができます。その料理は極めてクリーンなものです。つまり、砂糖も塩も無駄な食材もありません。」

[リポーター]

天然のタンパク質は、元のままの食材から摂ります。ハムやホットドッグのような加工した肉は糖質が多く添加されているので禁止です。同様に、天然の脂肪は、オリーブオイルやアボカドやナッツやココナッツオイルから摂取します。ショートニングやマーガリンなど人工的に作った脂肪はトランス脂肪酸を含むので避けます。

脂肪を多く摂取することは心臓に悪いという理由でケトン食をためらう人も多くいます。しかし、脂肪は天然のものであれば、たとえそれがココナッツオイルやバターのような飽和脂肪酸であっても、健康に良いと多くの医者は言います。
循環器の専門医のステファン・シナトラ博士(Dr. Stephen Sinatra)は言います。

[シナトラ博士]

「心臓病の主な原因はコレステロールかって?。それは全くの間違いです」

[リポーター]

彼の著書「The Great Cholesterol Myth(偉大なコレステロール神話)」の中で、シナトラ博士は心臓病の本当の原因は、糖質を多く摂取することによって引き起こされる炎症であることを指摘しています。

[シナトラ博士]

「私たち医師は、糖質の危険性について、患者に説明して理解させる必要があります。不幸にも、多くの人はその事実を聞かされていません。多くの人はその反対のこと、つまり脂肪の危険性について教え込まれています。しかし、トランス脂肪酸を摂取しない限り、脂肪自体は健康的なのです。」

[リポーター]

したがって、糖質の摂取を減らし、天然の脂肪とタンパク質を食べれば、心臓の健康状態は良くなり、がんを予防することもできるのです。

以上がリポートの内容です。

このあと、司会のパット・ロバートソンとリポーター(ローリー・ジョンソン)の話が約6分半ほど続きます。要約だけ以下に記載しておきます。

①    なぜ、がんのケトン食の研究を科学者があまり行っていないのかという理由として、医薬品の開発では良い薬ができればその製薬会社は莫大な利益を得るので、多くの費用を製薬会社は出します。しかし、食事療法では、その有効性を証明しても製薬会社もどこの会社も利益を得るわけでは無いので、研究費がでないので、研究が進んでいないというのが理由だということです。

②    唾液腺の腫瘍で手術を受けたくないので、ケトン食を実践したら、がんが消えて手術をしなくて済んだという症例を紹介しています。

③    ケトン食が小児の難治性てんかんの治療に劇的な効果を発揮していること、数年前にこのニュースでも紹介したメイヨークリニックでのインタビュー、ケトン食が開発された経緯などを解説しています。

④    進行がんや難治性てんかんの治療には厳格なケトン食を実行する必要があるが、がんの発生や再発の予防には、軽いケトン食の実践は有効と説明している。リポーターのローリー・ジョンソンはがんサバイバーで、家族にもがんが多いので、がんの予防の目的で軽めのケトン食を実践している。
平均的なアメリカ人はカロリーの60%を糖質から摂取しているが、軽めのケトン食では、糖質を25〜40%程度に制限する。

⑤    天然の脂肪は問題ないが、人工的に加工した脂肪に含まれるトランス脂肪酸を摂らないことが大切であることを強調している。

⑥    ケトン食の唯一の副作用は「体重が減ること」。ただし、これは悪い意味での副作用ではなく、ダイエットや美容に良いということで、良い副産物という意味で、ローリー・ジョンソンがオチをつけて、パット・ロバートソンが大笑いして、ケトン食の話をまとめた。

以上が、この番組の大体の内容です。

700 Clubは全米の96%の家庭で視聴可能といわれ、視聴率も高いので、多くのアメリカ人がケトン食のことを知っています。米国では、ケトン食のサイトも書籍も多く出ています。がんに関しても、You Tubeなどで学会の講演や患者の体験談などが見つかります。